グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する - 佐々木 俊尚

ちょっと古いですが、グーグル本です。グーグルが他のビジネスに対してどういうことをしていて、これからどうなっていくかを解説した一冊。


グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)
佐々木 俊尚 (著)
¥ 798 (税込)


グーグルは破壊者か?

まず、本書のテーマは「グーグルは既存のビジネスを破壊している」というところから入ります。これ自体は間違ってはいないのですが、別にグーグルに限らず、新しい企業が入ってくると今あるパイを既存の企業と取り合うため、多かれ少なかれ破壊は起こります。問題の本質はそれが非常に大規模で、あらゆる業種に対して起こっているということ。

何のために破壊しているのか?

本書では、「AdWordsであらゆる所に広告を配信するため、無料戦略で他のビジネスを破壊している」と言っています。結果として現れる形だけ見れば、確かにそう見えるかもしれません。しかし、これだとグーグルの本質を見誤っています。グーグルの本質は自社でもさんざん言っている通り、「データを集めて、整理して、提供する」会社なのです。

そういう視点から見てみると、無料化戦略というのは、あらゆるデータの出所を抑えることによって、すべてのデータを集めようとする試みであるといえます。ビジネスについては、彼らは「データさえあって、適切に整理・提供できれば、お金はあとから付いてくる」と考えているのではないかと思います。その一つが「AdWords」であったということ。

この本自身はちょっと古いこともありますし、必ずしも現状をとらえているとは言い難いですが、ネット業界についてあまり詳しくない人なんかにとっては、わかりやすい例もあるし、今ネットで起こっていることの一端をとらえるのには訳に立つかな、と思う一冊です。