グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか? - Andrew Keen

本書で言いたいことはただ一言「アンチWeb2.0」とでも言うような、強硬なアンチWeb2.0論を書いた一冊です。どちらかといえばあまり深く考えもせずに、Web2.0礼賛に行きがちな最近の傾向化らすると、とても興味深い本で、実際この本の内容は、Webに関わっていく人なら避けられないような部分がテーマとなっています。


グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?―Web2.0によって世界を狂わすシリコンバレーのユートピアンたち
グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?―Web2.0によって世界を狂わすシリコンバレーのユートピアンたち
アンドリュー キーン (著)
Andrew Keen (原著)
田中 じゅん (翻訳)
¥ 1,995


Web2.0で「信用」は成り立つのか?

この手のアンチ論の例に漏れず、この本でもかなり強固なアンチ論が展開されています。そのため、若干その時点で共感しづらい感が出ているのですが、本書で言っているのは、今後このWebが解決しなければならない問題点ばかりです。

いくつか論点があるのですが、その一つが「信用」の問題。ウィキペディアの場合では、編集者は、大学教授でも単なる学生でも同じ「個人」として扱っていますが、当然その知識の量と正確性が同じはずはありません。それを同列に扱って、本当に良い物ができるのか?というのが本書の問いかけです。他にも、匿名の問題、コピーの問題など、日本でもよく問題視されている部分ばかりです。

もちろん一技術者として、反論したい部分は多々あるのですが、実際にこの著者と同じように感じている人は多々いると思います。今まではどちらかといえば避けがちだったこの手の議論ですが、そろそろ避けてばかりもいられなそうだな、という感じの感想をもつ本書です。