2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? - 西村 博之

タイトルは「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」となっていますが、内容はひろゆきからみたウェブの解説。「梅田本(ウェブ進化論)」が理想主義的ウェブなのに対して、こちらは"超"が付くほどの現実主義。全体的に「梅田本」との対比感があります。


2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)
西村 博之 (著)
¥ 777 (税込)


ひろゆき法律論

まず、この本での一番の主張は、「ウェブだって需要と供給の関係で成り立っている」こと。需要があるから2ちゃんだってつぶれずに続けられている。またグーグルの技術は別に特に優れているわけではない、ただ企画力が優れているだけだ、と言ってしまえるのもひろゆき流という感じですね。他にも最近のITで注目されている、はてな・mixiライブドアなどのサービスについても、「技術力ではなく企画力」「ネットバブル」と切り捨ててしまっているのも面白い。

この本のもう一つの焦点はひろゆきと裁判・マスコミの話。こういう話は個人的に不得手だったため、面白い話が多かった。日本の裁判は意外と曖昧にできている。たとえば、ウィニーの話や堀江さんの話なんかがそう。大した理由もなく捕まっている。ひろゆき自身も裁判に行っていない、というあたりも、日本の法律の矛盾点を突くようで面白い。

よくわからないけど凄い、でもいいじゃないか

個人的にはいくつか反論したいところもあります。たとえば、グーグルやはてなの技術はすごくない、という部分。最後に小飼弾さんとの対談でもそうおっしゃってます。しかし、これは二人とも、技術者としては最上位レベルにいる人だからそう感じるのではないでしょうか?やはり、一般人(プログラマーでない人)からみたら"凄い"技術になるのではないかと思います。高層ビルを見て、「凄いな?」と言っているのと同じ感覚だと思います。

もうひとつは、技術をわかっていない人は技術を批評するなという部分。技術を知らない人だって、そのサービスのアウトプットなどを見て、批評することは可能ではないでしょうか。医者のたとえ話がされているので、それにならって書くと、「あの医者の手術の腕は凄い」ということは言えなくても、「あの医者に手術をしてもらった人は必ず助かっている。だから凄い」という評価は可能ではないかと思います。

ウェブ論としては面白い

必ずしもすべてに賛成できるか、と言われたらそうとは言えませんが、ウェブ論としてはとても面白いと思います。「梅田本」とちょうど真反対に位置するような内容のため、両方読むとうまく補完できるのではないかな、と思います。