キーワード検索がわかる - 藤田 節子

もうひとつ移動中に読んだ本を書評。こちらはさっきとはうって変わって技術的な内容となります。

今ではもう誰もが使っている「キーワード検索」ですが、それがどういう原理で動いているか解説した本となっています。


キーワード検索がわかる (ちくま新書 (685))

キーワード検索がわかる (ちくま新書 (685))
藤田 節子 (著)
¥ 756 (税込)


検索サイトを作ろうと思っている人が読む本

この本は最初に、

本書は、いつもキーワードを使って情報を検索しているけれども、もっと上手に探したいと思っている社会人、ビジネスマン、主婦、大学生、高校生などすべてのネットユーザーを対象にしています。

とありますが、これは間違いなく間違っています。本書の対象は、「検索エンジンの中身は知らないが、これから勉強しよう・作ろうと思っている人」です。

というのも、この本ずいしょに技術的な単語が出てきます。「索引」・「シーソラス」・「ファセット」・「N-gram」、このような単語が出てきます。もちろん、簡単に説明はされていますが、その説明だけで理解できる人はある程度この分野を知っている人だけだと思います。

後半ではシーソラスやなんかを意識した検索方法というのが出てきますが、こんなやり方やっている人聞いたことないのですが。。。どっちかというともっとトライアンドエラー方式に、入れてみて検索結果が多すぎたら単語を足す、少なすぎたら単語を減らすor変えるというやり方が多いんじゃないですかねぇ。

検索技術の概略を知るのにはうってつけ

この本はある程度ウェブ関連の技術について知っている人にとっては、検索に使われている技術を概観する上では非常にいい本だと思います。実際に検索も一つの技術で作られているわけではなく、いくつかの技術が合わさってできているものです。

その個々の技術について簡単に概略をつかむためには、本書はうまくまとめられているしいいと思います。技術書にしては圧倒的に軽いですしね。

情報の信頼性

最後に「情報の信頼性」というものがありますが、知ってか知らずか、最近のウェブでのかなり重要なポイントだったりします。

その一つは、まず情報源の記載があるものを選ぶことです。誰が発信したかわからない情報は原則として信頼することもできないし、その情報の正確さを確認しようもありません。すなわち、発信者名が明記されているものを選ぶことです。 - p171

ウェブにどっぷりつかっている人ならわかりますが、この感覚は非常に古い。新聞・雑誌なんかを読むときのテクニックをそのままウェブにあてはめているという感じです。

もちろん、情報の種類によってはそういうこともあるかもしれません。しかしブログ、集合知なんかが隆盛している現在、この考え方はかなり遅れています。

ネットでの名前についての議論はいろいろとありますが、結局は名前なんていうのは一種の記号なのであって、匿名とさほど変わらないということが多いようです。さらには有名な人だからと言って必ずしも「正しい」わけではないですしね。

検索の技術を知りたいと思っている人に読んで欲しい

最後にこれからのウェブにおいて必ず議論になる(というかすでになっている)「信頼性」と「著作権」を持ってきているあたり、まあ正しいかどうかは別ですが、ウェブ技術にたずさわる人なら一度は読んでおいて損はない本ではないかと思います。